KAVALAN 公式オンラインショップ

COLUMN
INTERVIEW
Vol.3

原酒の蒸留、熟成に耐える樽の探究、
ウイスキーの新しいキャラクターの創造。
それが私の喜びです。

カバラン マスターブレンダー
イアン・チャン

10年前のデビュー以来、毎年世界のウイスキー界に衝撃をもたらし続けている台湾のウイスキーブランド、カバラン。そのウイスキー作りと世界市場戦略を指揮するマスターブレンダー、イアン・チャンさんが語ってくれた、台湾の気候下で味わい深いウイスキーを生むための製法、カバランの矜持、そしてブランドのこれから。ご自身のカバランとの出会いやウイスキー作りにかける熱い思いについてもお話しいただきました。
 
カバラン マスターブレンダー イアン・チャン 氏

Profile
イアン・チャン(Ian Chang 張 郁嵐):カバラン マスターブレンダー、ブランドアンバサダー、研究開発責任者、 海外市場開発ディレクター。2015年英国パラグラフ・パブリッシング社主催「アイコンズ・オブ・ウイスキー」において、マスターディスティラー・オブ・ザ・イヤー受賞。2017年同賞ワールドウイスキー・ブランド・アンバサダー・オブ・ザ・イヤー受賞。


 

14年前、カバランとの運命的な出会い。
ウイスキーを学びにスコットランドへ

ー はじめに、チャンさんが、カバランでブレンダーを務めることになった経緯をお教えください。 私が蒸留所での仕事をはじめたのは2005年のことです。それまで私はイギリスに留学していて学業を終えたところでしたが、その年に私の父が重い心臓病を患ったこともあって、私は台湾に戻って、台湾で仕事を探しはじめました。2005年は金車グループの先代の李会長がカバラン蒸留所を創業した年です。私は蒸留所の求人をインターネットで見つけて応募して、採用されました。それが私とカバランの出会いです。


ー インターネットですか! 採用されてから、どのような経緯でブレンダーに就任されたのですか。 実は私は、最初はブレンダーという役職ではなく、R&D部門の一員でした。とても幸運なことに、ほどなく会社が、私をスコットランドに送りジム・スワン博士のもとでウイスキー造りを学ばせようと決めたのです。ジム・スワン博士はウイスキー産業ではとても有名な技術者で、カバランにとって非常に重要な、恩人といえる人です。スコットランドでの数年の学びを通して、ウイスキーをどのように蒸留し、樽で熟成させ、ブレンドするのか、あらゆることを教わりました。


ー そこがブレンダーとしての出発点だったのですね。 はい。なかでも最も重要なのは、ジム・スワン博士の技術的な裏付けと長年にわたる経験に基づいて「暑い台湾でどのようにウイスキーを熟成させるのか」を学べたことです。ご存知のように台湾はとても暑く、5月から10月まで、日中の気温が38度にもなる長い夏があります。一般的にこのような気候はウイスキー造りには向かないとされます。でもジム・スワン博士はこの不利な条件こそ、カバランのアドバンテージにできると考えていました。私たちは、暑い気候のもとでウイスキーの熟成が非常に早く進むことを最大限に利用したのです。このことはカバランの長所としてさまざまなところで紹介されている通りです。ただし、そのためには、熟成させ過ぎてウイスキーを台無しにすることのないよう、とても繊細な注意を払う必要がありました。  

樽の選択と繊細なモニタリングが、
台湾の気候下で早期熟成を成功させる

ー 暑い気候下での熟成にはどのようなコツがあるのでしょうか。 熟成させ過ぎたウイスキーは酸化しすぎ往々にして苦く、スムーズさがないものになってしまいます。これを防ぐために大切なのはまず厳選したアメリカンオークの樽を使うことです。アメリカンオークはウイスキーにオイリーさやバニラのフレイバーをもたらし、タンニンを抑えます。バターのようにスムーズでフレグラント、複雑な味わいのウイスキーができあがります。もうひとつは、大きな樽を使うこと。カバランでは、熟成が早く進みすぎないよう、200リットルより小さい樽は使っていません。三つ目は、樽ごとに違う熟成の度合いを精密にモニタリングすることです。熟成がピークに達したときに、すぐにボトリングします。これらが、台湾での早過ぎる熟成を抑えつつバランスの良いウイスキーを造るうえで大切なことです。


ー 蒸留の段階で、カバランはミドルカットを極端に少ない割合しか使っていないそうですね。それはなぜなのでしょうか。 蒸留所の創業当時から李会長は他にないユニークなウイスキーを造りたいと言っていました。蒸留後、熟成に回すミドルカットを少なくすることで、フルーティーさをもたらすことができます。カバランの特徴と言われる青リンゴ、マンゴー、チェリー、パイナップルといったフレイバーは、いまのごく限定したミドルカットに由来しているのです。
 

ー シングルカスクのソリストシリーズでは、ひとつの樽の質がそのままボトルの質になってしまいますね。それだけ樽の選択が難しいものになると思いますが、どのように樽を調達し選択しているのですか。 樽を買い付けるとき、基本的にすべてひとつひとつモノを見て判断し、調達しています。私たちは樽をグレードによりA、B、Cの三つのグループに分けます。Aのグループは全体の約10%程度で、これはクリーン中のクリーンな樽。バーボン樽ならば、ハニー、バニラ、ポップコーン、バター、熱帯のフルーツなどのフレイバーがしっかりと感じられるもの。シェリーでいうと、レーズンやクリスマスケーキ、ヘーゼルナッツをはじめとするナッツ系のフレイバー。ポート樽だとチョコレートやフルーツ、シナモン、ブラウンシュガー。ソリストのそれぞれのコンセプトを最も表現できるものを選んでいます。グループBはバッティングするクラシックやコンサートマスター、ディスティラリーセレクトを製造するグループ。Cは主に長期熟成用の樽です。

リフィル樽で熟成させたカジュアルな味わい。
カバラン ディスティラリーセレクト

ー この秋に発売されたカバラン ディスティラリーセレクトは、どういう特長や製法上のこだわりがあるのでしょう。 アメリカやヨーロッパ、日本のレストランやバーで、カバランは少し高価なためお客さまに提供しづらいという声が出始めていました。一方アメリカで、カバランはカクテルに使われるなどカジュアルな飲まれ方もされ始めていました。そうしたなか、ジム・スワン博士と私たちは、昨年に博士が亡くなる以前から、もう少し価格競争力のあるカバランを出そう、という構想を持っていました。ジム・スワン博士の最後の仕事ともいえるカバラン ディスティラリーセレクトの特徴は、リフィル樽を使っていることです。リフィル樽とはスコッチやアイリッシュ、ジャパニーズウイスキー、またはカバランで一度以上使ってから再使用する樽のことです。一般的にリフィル樽で熟成させたウイスキーは樽の影響をあまり受けず、色も薄いものになります。ところがカバランの場合、高い気温を活かして、リフィル樽でも樽の成分をしっかり移した味わい深いウイスキーを造ることができます。

カバラン ディスティラリーセレクトは、カバランを初めて試すという人に最適です。そしてカクテルにも合わせやすいウイスキーです。最近ニューヨークやサンフランシスコのバーを視察したのですが、オールドファッションやマンハッタンといった、ウイスキーベースのカクテルにディスティラリーセレクトを使っている場面を多くみかけました。とてもバランスが良く、多様性があるウイスキーなので、食事に合わせても良いと思います。日本ならば、ハイボールに一番適した商品だといえます。
WHISKY Festival TOKYO 2018 にて

100カ国への輸出をめざす世界戦略。
ブランド10周年の限定ボトルも

ー この短期間にで次々とウイスキーを世に出してきたカバランですから、これからもどんどんラインナップが増えてくるのでしょうか。 カバランは、亡くなったジム・スワン博士とともに築いたガイダンスを指標として創業以来13年間邁進してきました。私たちはそのカバランの最も大切なDNAである「イノベーション」をそのまま受け継いでいます。2018年の12月4日、カバランはブランドの立ち上げから10周年を迎えます。この日、私たちはサプライズとしてふたつのプロダクトを出荷します。これはたいへん希少な樽で熟成させたもので、全世界で3,000本ずつ、2種類で合計6,000本の限定商品です。コニサーやウイスキーコレクターにとってはとても興味深いものになるはずです。


ー それはエキサイティングですね。10周年を迎えたカバランの、今後の世界戦略はどうなっていくのでしょうか。 カバランの基本はイノベーションであり、品質の高さであることは変わりありません。グローバルな戦略としては、現状69カ国に輸出しているカバランを、今後5年から10年で100カ国にまで広げるための努力を続けています。

もうひとつ、新しいカテゴリーへも挑戦しています。今年はスタートさせたのはカバランのジンです。スムーズでフルーツを感じさせるボタニカル。カクテルベースにもしやすい飲みやすいジンに仕上がりました。こうした新しい挑戦は今後も続けて、ブランドのポートフォリオを充実させていきたいと考えています。


ー チャンさんご自身が、お仕事をしながら最もやりがいを感じるのはどのような時ですか。 新しいフレイバーの発見、それが最も充実を感じる瞬間です。最適な原酒を蒸留すること、台湾での熟成に耐え得る樽を探し出すこと、そしてウイスキーの新しいキャラクターを創造することです。ジム・スワン博士と私は、新しい樽を求めてさまざまな国を旅してきました。たとえばポルトガルのマデイラ諸島でマデイラ・ワインの樽を探したり、中央アメリカでラム酒のカスクを選んだりという旅です。そうした旅の成果として新しいウイスキーの表現にたどり着くこと、これは私にとって本当に大きな喜びです。


ー 最後に、日本のウイスキーファン、カバランファンへのメッセージをお願いします。 新しい商品であるカバラン ディスティラリーセレクトは、飲み方にこわわることなく、ハイボールやカクテルなどで気軽にお楽しみいただきたいと思っています。そこからスタートして、クラシックシリーズやソリストなど多彩なカバランの世界をぜひ存分に体験していただければとても嬉しいです。

ウイスキー作りへの果てしない情熱。台湾ウイスキーの歴史そのものといっても過言ではないイアン・チャンさんですが、カバランと出会ったのはインターネットの求人情報だったというのは、まさに新時代のウイスキーブレンダーを象徴するようなお話でした。あっという間に世界のウイスキー界を牽引するトップ・ブレンダーの一人に名を連ねたチャンさん。今後もますますご活躍され、素晴らしいウイスキーを次々と世に出していただけるに違いありません。今日はおいそがしいなか本当にありがとうございました。
 

INTERVIEW COLUMN

Vol.5
作家
椎名 誠さん

ウイスキーは
“場”を作ってくれる酒だなと思う。

Vol.4
ウイスキー評論家
土屋 守さん

ウイスキーの常識を覆したカバラン。
今では世界中のウイスキーファンが
その実力をわかっています。

Vol.2
カバラン公認アンバサダー
櫻井 悠奈さん

カバランのバリエーションから
最高の一本を
探し出すのは、
この上ない楽しみです。

Vol.1
カバラン公認アンバサダー
長谷川 憲三さん

カバラン ディスティラリーセレクトの
カクテルも、お客さまに好評です。

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